ハンドカットログハウス建築日記

HAKUGINは静かに暮らしたい

ハンドカットログハウス建築&日記

カナダへ⑤

 

画像はカナダへ②の冒頭で紹介した建物の内部です。

おうち紹介の続きとなります。

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一階のほぼ中央部にはキッチンがあります。

このキッチンは外部や階段のような木材の圧倒的な存在感と言うよりは、スッキリした少し高級感も感じられるものです。
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近づいてみると・・・

やっぱり天板は一枚板。

ココの木材仕上げは譲れないですよね?(この施主なら)

他の部分がスッキリ系なので、この天板の存在感は際立ちます。

高さもあり、バーカウンターのような感じ。その高さに合った椅子もオシャレですね。

人を招くことの多い家なので、大人目線のキッチンです。

ちなみにカウンター下はまだ施工途中のため、子どもたちの落書きでいっぱいでした。
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キッチン内は、後ろに壁とカウンター、カウンター下は収納となっています。
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間の通路は横幅広めの120cm。

複数人が一度に作業できるように、またすれ違いなども考慮して広めにしたそうです。
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家主イチオシのゴミ箱。

約2万円弱もする高級ゴミ箱です。

使い勝手はめちゃめちゃいいそう。

ちなみにその後検索したら、人気があって受注中止になる程。
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食洗機も内蔵。

パナソニック製で、スイッチが引き出しの中に付いています。

従って引き出しを閉めると外からは全くスイッチ類が見えず、食洗機がある事が分かりません。
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こんなにオシャレなキッチンなのに、実はリキシルのシステムキッチンがベース。

そこに、かなり施主の手が加わっていますが・・・
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ガスコンロもリンナイ製。

多人数対応のため四つ口コンロです。

ゴトクも隙間が無いようにデザインされ、鍋やフライパンなどの調理器具を移動するのに便利そう。
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キッチンの高さは90cm。

奥様には少し高めですが、施主も腕を振るう機会が多く、男性目線です。

奥様もあまり細かいことは気にしないようで、"すぐ慣れましたよ〜"とのこと。

日本の標準的な高さは85cmですが、私が読んだ家関係ブログの方も高めを薦めてましたね。高くて損はない、家族のうち一番背の高い人に合わせておきましょう、と。理由は標準的な高さだと前かがみの姿勢になり、知らず知らずのうちに腰痛の原因になるのだそうです。

このキッチンのシンクは内側に段差があり、そこに金属製の板をはめて、一段低い位置での作業も可能になっています。

ちなみに画像の床にある足台は子どものお手伝い用です。
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後ろの収納も、置くものに合わせて大きさ、高さ、幅、化粧板の有無などを変えて、施主が一つ一つDIYしています。

 

 

では本題へ。

 

カナダへ、のブログ締めくくりです。

この日もゆっくりめにホテルを出発。

現場に着いても、昨日の雪の影響が残っていました。

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下はぐちゃぐちゃでも作業は進められています。

加工中のログ材や、これから加工するログ材は周りに置かれています。
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棟木になる極太のイエローシーダー。

太さを測っているところですが約70cmある事が分かります。

屋根の勾配に合わせて一部平らに挽かれています。
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並行して別のログ材も加工中です。
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これから加工するログ材はクレーンで運んできて・・・
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近くに下ろすと、こんなにデカかったのですね・・・
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次から次へと・・・

以外と早いペースで加工は進んでいきます。
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これも今から加工するログ材です。

これも棟木となります。
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奥には別のログハウスも並行して、加工が進められていました。

奥のはレッドシーダーで、平均的な太さ。遠くにあって遠近感があるとはいえ、太さの違いが際立ちます。

ちなみに、私のログハウスは経験豊富なビルダーさんが責任者。他に2人のビルダーさんも担当していて、1人は社長の息子さん、もう1人は新人さんでした。

 

この日の午後は、せっかくカナダまで来たのでカナダのログハウスを見たい、ということで、一軒だけ、近くにあるログハウスへ案内してもらいました。

道中でサーモンアームという街に立ち寄り昼ごはんにメキシコ料理を食べましたが、豆の煮物みたいな物で、ここだけの話、あまり美味しくはなかったです・・・

さて現地に着くと、家主は入院中で勝手に見ていっていい、とのこと。

事前に鍵も預かっているようでした。
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入り口は階段を登ってデッキから。

同じ会社が施工したログハウスなのですが、B&B兼自宅として使われていた建物です。かなり年数が経っており、今はB&Bも辞めて、家主は病気で入院中。今は誰も住んでいません。家主の病状は詳しくは分かりませんがもう家に帰れるか分からない、とのこと。お子さんも独立して、この家にはいませんでした。

ログハウスも長く使うと、家主の高齢化、家族構成の変化で使われなくなる時が来る、という事を目の当たりにしました。これは普通の家となんら変わりはありません。

おそらくこの家は、一家庭の幸せな姿を長い間見守ってきたのだと思います。

ただログハウスは寿命が長い建物なので、人間1人の寿命を遥かに超えて存在し続けます。その時にも後に続く人が住み続けてくれるのだろうか?との疑問を抱かされました。できれば私の子や孫、さらにその先まで使い続けてもらいたいものです。

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気を取り直して見学。

まずは外観から。

屋根はピークドーマーがあり、東西南北それぞれの表情が違います。

私もドーマーは同じくピークドーマーとしたのですが、垂直に立ち上がる壁部分が無いドーマーなので、水切りの面では一番安心です。この施主はそれを意識してかどうかは知りませんが、勝手に親近感が湧きました。
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基礎に注目すると、基礎コンクリートの上に石のタイルが貼られています。おそらくはDIYでしょう。

昔の仕様なので、土台となる木材はありません。

基礎のすぐ外側は石が敷き詰めてあり、屋根から雨がしたたり落ちても土が跳ね返らないようになっています。基礎の高さも1.5m以上あり、寒いカナダでも充分ですね。
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さて内部へ。

メインとなる吹き抜けのリビングは写真を撮り忘れましたが・・・吹き抜けの手摺りは撮っていました。

吹き抜けはかなり広く、開放感は抜群です。手摺りはシンプルなデザインでした。
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こちらは二階の吹き抜けと、部屋となっている空間とを仕切る壁です。

下部は白い塗り壁、上部はシーダーシェイクです。屋根ではなく壁に施工されています。

ポストアンドビームなどでは、外部の壁の仕上げにシーダーシェイクを見る事はありますが、室内は初めて見ました。

日光に当たらないので変色も少なく、水にも当たらないので、葺き替えは必要ないでしょう。

これはDIYにいいかも。
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シーダーシェイクを裏側に廻ると子ども部屋になっており、就寝スペースと手摺りが。高さがあるので、有効に使ったようです。子どもは階段など高さがある所が大好きですので、この部屋の主は寝る時が楽しかったことでしょう。
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室内のインテリアもオシャレ。

紐で吊るした植物が、風呂の中に飾られていました。
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先程の子ども部屋の机と、壁掛け収納。

これもDIYかな?

ココに日本の学習机は似合いませんよね?
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あまり写真が無くて申し訳ないのですが、これは後から外部で撮った車庫。

ココは車庫もフルログです。

その壁に付けてあった昔の道具がアンティークな感じでオシャレでした。

大きい方は横幅1.5mくらいはあったでしょうか?

前日の雑貨屋でも同じような物は見かけましたが、こちらの方がデカいです。

ウチもコレを手に入れて、どこかに飾りたい。

 

さて、この日は現場見学最終日という事で、現場に戻って来てビルダーさん達に挨拶。

自分の家族の写真を見てもらったり、家を建てる土地からの山の眺めを見てもらったりもしました。

そのほうがビルダーさん達も、加工しているログハウスに熱が入ると考えてのことです。
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最後まで、名残惜しさを感じつつ太い丸太に囲まれて過ごしました。
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太く立派な、真円に近い、年輪も密な、建材として質の高い丸太です。

 

ビルダーさん達は朝8時から午後3時まで仕事、あとはさっさと帰ってしまいます。朝は早いけど、夕方以降の時間が有意義に使えるシフトです。1時間休憩を抜くと一日六時間勤務。もちろん危険を伴う職場なので集中力を切らさないようにする事も大切ですが・・・ワークライフバランスも最高、日本も見習って欲しいですね?

仕事終了後、私のログハウスを担当している新人さんのビルダーさんと少し話をしました。

彼はカナダ東部、トロントのニュートロント地区出身ですが、この仕事のためにこちらに来たのだとか。もうニュートロントに戻るつもりは無い、とも。この仕事はまだ日が浅いが、前回の初めての仕事はポストアンドビームだったため、初めてのフルログでいい経験だった、とのことでした。

新人さんが担当でも、ベテランさんが統括して、一緒になって加工している姿を見る事ができたので、加工精度に対する心配はありません。

また、私が日本人だと知っていて話題となったのが、宮本武蔵のこと。武蔵の書いた"五輪書"は英語訳も出ていて、彼はそれを読んで感動したそう。五輪書は剣術や兵法のみならず、大工にも通じるものがある、と。(彼は自分のことをログビルダーとは言わず、カーペンターと言っていました。)恥ずかしながら、私は歴史に疎く、宮本武蔵五輪書についても詳しく知りませんでした。帰国後すぐに図書館に行き、それらの本を読みましたが、その時に私に知識があれば、もっと深い話ができたかもしれません・・・

最後に両手で握手して、ハグして別れました。大工としての日は浅くても、ゴツゴツした、分厚い、職人の手でした。

 

ビルダーさん達が帰った後は社長さん家に招かれ、夕食となりました。

社長さん家はエンダビーの街から車で少し離れたところ。川のほとりにある広い平屋でした。ログハウスではないのですが中古物件をリフォームしたもので、内部はほぼポストアンドビームです。

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画像は夕食前に外を散歩した時のもの。

暗くて見づらいですが、一枚目は川のほとりから社長さん家を見たところ。二枚目は振り返って川の様子。

自然をすぐそばに感じられるところです。

その後、中に入り夕食をいただきました。

内部の写真は無くてスイマセン。

リビングの暖炉前の大きなテーブルに、我が愛読書ナショジオの英語版が置いてあって親近感が湧きました。

また、その時は社長さんの息子さんも来ていました。

彼は今は近くに住んでいて、近く結婚する事が決まっているとか。このログハウス会社も後継ぎができて安泰ですね。

夕食はサラダ2種類、白米、焼いたサーモンなど。家庭の味という感じで、優しい味でした。白米は日本人という事で出してくれたのかも知れませんが、サラダのように大皿に山盛り。そしてサラダと同じように皿に取って食べました。日本人なら、暖かい炊き立てを碗に盛って食べたいところですが・・・文化の違いですね。

この時は、私の家族の紹介、私が過去にカナダのウィスラーでスキーをした時の事、泊まっている宿があるシルバースター スキー場は社長夫妻ともに過去にアルバイトしてた場所だという事、社長の息子さんの結婚の事、C社の方の近況、日本の天皇が変わった事、などなどを話した記憶があります。お米に関連する事として、日本のお餅を紹介して"是非食べてみて"という話もしました。

この後はケロウナ空港前のホテルまで行くため、夜8時くらいには社長さんの家を出ました。

最後に社長の息子さんも我が家の担当だったので、楽しんで仕事してね、と伝えて、握手してきました。

 

ホテルに入る前に食品スーパーで少し買い出しした時に、子どもたち用のお土産に良いものを見つけました。

それがこちら↓

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5歳の息子用にナショジオのリトルキッズ英語版。比較的優しい英語で書かれていて、この子が好きな動物の紹介が主な内容です。

そしてもう一つ↓

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3歳の娘用にアルファベットの絵本。AからZまで、それぞれを頭文字にした簡単な英語でカナダの紹介文が書かれています。

 

その後は一泊して、行きと同じく長い道のりを帰ってきました。この頃になると少し度胸が座ってきて、英語圏にいる不安感も薄れていましたね。

帰りの便で一緒になった小学生の団体。今は小学生の修学旅行でも海外なのですね?

 

今回のカナダ旅行での収穫は、自分が加工途中を見て満足というよりは、やはりカナダの加工場の人達に会って、思い出に残る話が出来た事ではないか、と思います。また、C社の方のルーツとも呼べる、今のお仕事の原点を見る事ができました。

今でも思い出せば加工場のビルダーさん全員の顔が浮かびますし、ふとした時に今後も思い出すでしょう。

私の家族写真も見てもらって、この家が建つところの風景も見てもらって、自分のこの家に対する想いを伝えて、最後に握手。自分が帰った後の加工も、想いを込めてやってもらえたと思いたいです。

後悔は3つあります。

一つは英語の問題。私の英語力が無いために、思い通りに伝わらない事が多々ありもどかしかったです。今までの旅行ならそれもいい思い出だね、で終わる話なのですが、今回は目的が違います。もっと深い話ができたらもっと有意義な滞在となったハズです。

二つ目はやり残した事があった事です。現地の方々と記念撮影もしなかったですし、日本からのお土産も渡したかった。もっと現地のログハウスを見たかった。記念に何かログに彫り物を一緒にしてもよかったですし、漢字のプレゼントをどこかで書いてあげたい、と思っていたことも現地では忘れていました。海外では漢字が人気と聞いていたので、この会社のロゴマークにあるカナディアンプライドを漢字にして、"加誇"という漢字をプレゼントするのがいいかな、などと事前に考えていましたが・・・

三つ目は自分が日本の歴史について全然知らなかったこと。新人のビルダーさんに宮本武蔵五輪書の事を話されても、大まかにしか答えられず、お茶を濁した感が残りました。この新人さんの仕事に対する情熱が凄かったので、余計自分が惨めに思えました。

 

そんなこんなで個人の思い出を書き綴ってきましたが、自分の記録も兼ねて書いてますのでなるべく思い出したことは書きました。長くなりましたがこれでカナダ行きのブログは終了です。いつかまたカナダに行ってビルダーさん達に会えるといいな、と思います。