ハンドカットログハウス建築日記

HAKUGINは静かに暮らしたい

ハンドカットログハウス建築&日記

薪ストーブと薪の調達について②

f:id:HAKUGIN:20200606062843j:image

画像は私が導入する石のストーブ、ハースストーン・ヘリテイジの最新版、触媒付きになります。

触媒とは、ストーブ本体上部と煙突の下部の間に付けるフィルターみたいなもので、高温になった気体が煙突から昇る前にこのフィルターを通し、気体内の燃焼物質をもう一度燃やしてから排気するものです。よって、燃焼効率も上がります。

私は触媒無しなのですが、今後ヘリテイジはこの触媒付きしかなくなります。

煙突からの排気ガスの基準が製造国アメリカで厳しくなり、燃焼効率も高い物でないと製造を認められない、ということで触媒付きになりました。

その分値段が高くなりますし、今後のメンテナンスで触媒の交換費用もかかってきますし、操作も複雑になりますので、私は触媒無しを希望していました。

触媒付きに切り替わる前のギリギリのタイミングで、なんとか触媒無しで手配してもらえました。

ちなみに燃焼効率が高いのはいいことなのですが、このヘリテイジという薪ストーブはもともと他の触媒無しストーブよりも燃焼効率がよく、カタログ値で81%です。これは他のストーブの触媒付きにも引けを取らない値です。定価は56万円です。それが触媒付きになると燃焼効率83%、定価64万円になります。この違いをどう捉えますか?

また、触媒付きだと、操作レバーが二個になります。ストーブ内に空気を取り入れる量を調節するレバーと、煙突への排気を触媒に通す量を調節するレバーです。触媒無しならば操作レバーは一つで、操作も単純なので妻や子供達にも使いやすいです。

よって私は、燃焼効率は充分、メンテナンス費用も少なく、家族誰でも使える触媒無しを選びました。

 

 

では本題へ。

まだいろいろ書くことがあったので、その②、続きを書いていきます。

 

前のブログでは玉切り、薪割りに必要な道具が揃い、いざ作業、というところまで書きました。

思い出したのでここに書いておきますが、チェーンソーの使い方を有料でもいいので講習してくれないかな?と思い、情報を検索しましたが、一般向けはほぼありませんでした。今は仕事としてチェーンソーを使う方々も講習を受けなければならないようで、その講習の情報ばかり出てきます・・・

では作業についてですが、玉切りはチェーンソーが必須です。玉切りする時の幅はそのまま薪の長さになります。

薪の長さについてですが、薪ストーブに入る大きさであればいいのですが、ここで大き目にストーブの大きさギリギリにしてしまうと、薪ストーブの端の方でも薪が燃えることになり、正面のガラスの端にススが付きやすくなります。なるべく大きい方が玉切りの回数も減り、作業も楽なのですが・・・。

薪ストーブ屋さんに聞いたのですが、正面のガラスにはススが付きにくくなるよう空気の吹き出し口があって、エアカーテンのようにガラスを守ってくれるようになっています。しかし、端の方はそのエアカーテンの効果が低く、ススが付きやすいそうです。従って、あまり端の方では薪を燃やさないほうがいいです。その薪ストーブ店では、大きい薪が入るストーブでも、長さは40cmにするようアドバイスしている、とのことでした。それ以上長い薪だと重くなってくるので、女性や子どもには持ち運びにくくなりますし、当然薪割りにも不利です。また、40cmの薪はおおむね全ての薪ストーブに投入可能な大きさなのだとか。さらに薪の乾燥についても、短い方がよいです。

従って、原木を前にしてチェーンソーを握ったら、幅は40cmとなるように玉切りしていきます。大きな原木が手に入ったなら、玉切りしてから運ぶこともあります。原木のまま運ぶには、クレーンを持っているか、クレーン付きトラックが必要になります。私は軽トラでクレーンは付いてないため、現場で玉切りして、自分で軽トラに載せられるくらいの大きさにしてから運びます。

その後、薪割り用の斧で割っていきます。これは乾燥を進める、細かくして持ち運びを楽にする、などの効果があります。

また、薪ストーブ屋さんから聞いてへぇ〜と思ったのが、割って雨にさらすことで、木の中のヤニなどの成分が抜けるのだとか。

割った薪を乾燥させる時に、割った断面(木の内部)を上にしておくと、断面から雨を吸い、ヤニなどと一緒に下へ流れていくそうです。樹皮は内側からの水分や湿気は抜けるが、外からは通さないようになっているそうです。天然のゴアテックスですね。

これは薪としてはかなり大切な事です。主に針葉樹に含まれるヤニなどの樹液成分は、煙突汚れの原因になるからです。煙突掃除もこの汚れを落とす事が主な目的です。

従って割った薪を乾燥させる時は、木の内部を上に、樹皮を下にして置いていきます。雨ざらしにした方がいいので、屋根はいりません。

薪に雨が当たると、せっかく乾燥させている薪がまた湿気を含んでしまう、と思われるかもしれませんが、その影響は考えなくても大丈夫です。理由は過去のブログ、"緊急事態?!"に書いておりますので、よかったらお読みください。

ただし、薪ストーブに投入する時に濡れた薪は厳禁です。薪ストーブ内の温度が下がってしまいますので。従って、今年使う薪の保管場所だけ屋根を付けるのはアリかな、と思います。

C社の方も自宅で薪ストーブを使っているのですが、薪ストーブの横に少しスペースが確保できれば、そこに少し薪を置いておくといい、とのこと。そうすれば、薪ストーブの熱で乾燥も進みますし、濡れていてもあらかじめそこに置いておけばすぐに乾きます。また、冬の寒い日に外にある薪は温度が低いばかりか内部の水分が凍っており、それをすぐにストーブに投入するとストーブ内の温度を下げることになってしまいます。また、奥様や子どもたちもすぐ隣にある薪なら投入してくれるかもしれません。さらに、寒い日に扉を開けて外に薪を取りに行くのは、なるべく避けたいですよね?

 

いろいろ書いてきましたが、他にも話題があります。

ここで触れておきたいのが、私が出会った脱落者たちの存在。脱落者とは言い方が悪いかもしれませんが、これも現実です。

憧れだけで、100万円ほどかけて薪ストーブを導入しても、薪が無い、買うと大変、火を付けるのが大変、暖まるのに時間がかかる、などの理由で、結局ほとんど使ってない方々がいます。

薪ストーブが100万円のインテリア飾りとなっているのです。

最近は家の断熱性能も高くなっているので、薪ストーブを焚くと暑すぎるから使ってない、という方もいます。

また、薪を運び込む動線を考慮していなかったために、薪を運ぶたびに室内が汚れるのを嫌い、疎遠になっていく方々もいます。薪を運ぶ時の汚れとは木屑だけではありません。虫たちも当然付いてきます。乾燥中に立派なキノコが付いてしまった場合、キノコとその胞子も。

また、薪を造るのが大変で挫折した方々もたくさん見てきました。薪の準備はとにかく時間と体力がいります。始めはヤル気満々でも、覚悟が無いと大変さに負けて、徐々にやらなくなっていきます。

今はいろいろな薪割り機が販売されているので、持っている人がいると引っ張りだこです。貸し借りはよく聞く話ですし、薪ストーブ店が有料で貸し出している場合もあります。これをグループで借りて、貸し出し料を割っている方々もいます。

 

最後の話題として書いておきたいのが、"山を持っている"という地元の方々の存在。

よく聞くのが、山を持ってるのでそこから薪を調達できるから薪代はかからない、という話。薪ストーブの雑誌などにも、そんな夢みたいなことをほとんどの方がやっているように書かれています。薪ストーブ導入のハードルを下げようと意図しているのかもしれませんが、そんなことはまずできません。

都市部に住む人なら、山を持ってるなんてどんな人?と思われると思いますが、私も同じでした。こちらに移住してからいろんな人々に話を聞くと、その辺りの事情も分かってきました。

まず、本当に一部の、昔から山を持ってる人々がいるのは事実です。ただしそういう方は、持ち主一人あたりの面積が大き過ぎて、とても個人が管理できるものではありません。入っていくための道も付いていない広大な山林から、どうやって丸太を切り出し、運び出しますか?

その方々を除いて、ほとんどの山の持ち主は山を"持たされて"います。

私の知り合いの方の場合、山の斜面を幅20m程に区切って、地域の方々に一人一区画ずつ割り振られています。

山が荒れてくると区切りの線もハッキリしなくなるため、個人ごとの山の管理は不可能です。従って林業会社に、ある程度の山域をまとめて管理してもらう、という方法が取られています。

残す木と伐採する木を見極めて、伐採した後は風と陽が適度に入るようにします。伐採した木は、製剤できる物は材木屋に売り、それ以外の木は薪にしたりその他の用途に回します。伐採した木の一部は、あえてその場に残す事もあります。その方が、その木が自然に分解された時に土壌を豊かにするのだとか。また、何の価値も見出せない木も放置されます。

そうして管理された後には、林業会社から報告書が地主に渡されます。なるべく木材として売ったお金で元を取り、地主の負担は無しとなるように、林業会社も努力しているようです。

それらを生業としている方々がいる以上、山で薪を自由に調達、なんてことは容易にできないということはお分かりいただけると思います。

 

以上、薪ストーブと、薪の調達について、私が知った情報をいろいろと書いてみました。これから薪ストーブ導入を考えている方々に、少しでも参考になる情報があれば幸いです。

薪ストーブ自体は、環境に優しいカーボンニュートラルな暖房器具です。普及することは、広い目で見て、長い目で見ていいことだと思います。

ただし、せっかく導入しても使われずに埃を被っているのを見るのは悲しいですよね。

これを読んで、ライフスタイルを変える覚悟はできたでしょうか?

それでも薪ストーブを導入したい、と思う方は、本物の薪ストーブユーザーになれるでしょう。