内装・外装のギャップについて
今までも触れてきてはいますが・・・
家の計画をする時に、我が家では内装と外装にギャップを付ける事にしました。
外装は丸太小屋。
太い丸太をそのまま無造作に積みました、という感じ。
山小屋や、その延長として上高地帝国ホテルも意識しています。
内装は高級感、スッキリ感。
物が少なくて、家や家具などを造っている素材の良さが際立つ感じ。
計画時にそれらの事を考えたのは、いろいろなログハウスを見ていて疑問に思う事があったからです。
これらの画像はとあるログハウスの内部。
それぞれは違うログハウスです。
一般的な住宅しか知らない方々が見たら、木のおうち素敵、となるのでしょうが・・・
これ本当に素敵ですか?
これで本当に満足ですか?
具体的に言うと・・・
ログハウス=木のおうち、という事で内装が全て木の板材で仕上げてありますが、壁も床も天井も同じ見た目で面白みに欠ける、と思いませんか?
外から見たらログハウス、中から見てもやっぱり木のおうち・・・単純にそれでいいんでしょうか?
ログハウスを何十軒も自分の目で見てくると、これでは満足出来なくなってきます。
人間とは贅沢なものですね?
もちろんどんなログハウスを見るか、にもよります。私のようにハンドカット一筋の場合には、当然こだわりのログハウスが多くなりますが、そうでなくても同じようなログハウスばかり見て、それらが全てと思っていたら、それ以上先は無いでしょう。
しかし、本当のこだわりのログハウスとはこんな物ではありません。
私が出会ったいろいろなログハウスの中には、これは凄い!と思える物がいくつもありました。もちろん私が知らない物もたくさんあると思います。面白い、魅力的なログハウスが今までもたくさん建てられてきたのだなぁと思います。
それらは本当にこだわりの詰まった、施主の考え方や暮らし方が想像できるような、素敵なログハウス達でした。
そしてそれらは、内装も単一な仕上げではありません。
一つでも工夫を、一ヶ所でも違う仕上げを、というこだわりの気持ちがあるのでしょう。
ログハウスは壁が木材の横積みというだけで、その他の仕様は一般住宅と同じだけ選択肢があります。
それらの一部をご紹介します。
今回は内装にこだわっているログハウスが中心です。
まずはこちら↓
以前もこのブログで紹介したことがありますが、ヘリスキーツアーのための宿泊施設として使われているカナダのログハウスです。
こちらは屋根の室内側と、内壁の仕上げが白塗りで仕上げてあり、ログ壁とのギャップが際立ちます。
ログハウスだから全て木で、という単純な仕上げではありません。
なんでも北米では白い塗り壁をDIYするのが一般的で、汚れたり割れたりしても自分で塗り直すのだとか。
それを聞くと、これはカナダとしては一番オーソドックスな仕上げなのかもしれません。
"ログ壁以外の内壁は、板貼りではなく白い塗り壁にしたい"、と思うきっかけになったログハウスです。
続いてこちらは上高地帝国ホテル。
内部はこんな風になっています。
こちらは白い壁と天井に、木材の組み合わせです。
斜め天井と木材が見えていることで、単調な空間ではなく山小屋っぽさが出ていますよね?
これらの木材は構造材を現したものなのでしょうか。
単純に白い塗り壁にするだけでも他のログハウスとは随分違う雰囲気になりますが、さらにこのような構造材としての木材を現しとするのもいいですね。
最近の一般住宅のリビング天井でもこのような工夫を見る事が多くなりましたが、その多くが集成材です。
それよりも本物の一本の木からできた角材が理想的ですね。
我が家は小屋組の木材が丸見えですが、丸太そのままなので、角材でもいい雰囲気ですね。
続いてこちらは、カナダで見たB&B兼自宅の建物の内部。
吹き抜けと個室を仕切る壁に、シーダーシェイクが施してありました。
その下は、やはり北米では一般的だという白壁です。ここもDIYでしょうか?
高さに余裕があるところは梯子とロフト。
手摺りもベランダなどの外に付けてもいい仕様かと思うくらい立派です。
壁の一部に机と収納棚が造りつけてありました。
ともに施主のDIYでしょう。
お風呂の横には紐を使った吊り下げ照明。
施主のセンスですね。
続いてはダブテイルノッチで組んだログハウスの内部。
なぜかダブテイルノッチの場合は極太の丸太を使った家が多いですね。
我が家も太めでお願いして6段で組んでもらいましたが、この家は5段・・・負けた。
上下のログが接してないので高さを稼ぎやすい事もありますが、それにしても太いです。
丸太は左右を平らに挽いて、平らな壁に近い状態になっています。
上下のログの間は白塗りの壁で埋めてあります。
これだけでも他には無い雰囲気が漂いますが、内壁はやはり白ですね。ニッチも照明付きでお洒落です。
続いて日光にあるウッズマンズビレッジのログハウス。
近代ログビルディングの祖、アラン・マッキー氏も携わったこれらのログハウスは、面白い工夫がいっぱいです。
一度行ってみたいと思っているのですが、まだ行けてません。
ホームページから画像だけ拝借しました。
外観からも面白い工夫が見えます。
妻壁はやはり白壁ですが、そこにレンガが埋め込まれていますね。
内部は白壁だったり、板貼りだったりと、場所によって仕様が違います。
こちらは造り付けの2段ベッド。
真ん中の梯子も独特です。
洗面台の隣のログ壁は、平らな壁に近くなるように挽いてありますね。
それ以外の壁はもちろん白壁。
自作の鏡も、フレームにあえて曲がり木を使っています。
こちらも過去に紹介したご近所さんのおうち。
ポストアンドビームです。
こちらの家の内壁は、施主のDIYです。
本物の漆喰です。
今は漆喰といってもそれっぽい物がいっぱいあって、中の成分は昔ながらの漆喰とは全然違います。
施主は本物の漆喰にこだわって、材料費がかかっても、DIYで施工費を節約しています。
こちらも過去に紹介したおうちですが、上のご近所さんのおうちを建てた大工さんと同じ人が建てたものです。
柱自体が曲がっていて、独特の雰囲気ですね。
最後に、我が家を建ててもらっているC社が過去に建てた個人別荘。
海賊船をモチーフにした仕様や小物、アンティーク調の家具や飾りで埋め尽くされています。
この別荘の二階は凄いです。
室内にトラス!
しかも小屋組の丸太はあえて樹皮をラフに残しています。
室外だと虫が入り込みますが、室内ならこれもアリですね。
吹き抜けの手摺りは、海賊船を意識して黒いロープになっています。
いろいろ紹介してきましたが、まだまだ紹介したいログハウスがいっぱいあります。
残念ながら画像がないので、また暇を見つけては画像を集めて紹介できればと思います。
ログハウスを計画中の方は、一つでも工夫を取り入れる努力をしてみてはいかがでしょうか?
ログハウスを選んだ時点で満足していませんか?
木材を使うことばかりに気がとらわれて、全て板貼りの単調な見た目になっていませんか?
選んだ建築会社の今までのログハウスは、そのような仕様ばかりではありませんか?
最後はあなたのセンスで決まります。
選んだ建築会社の良い所は利用して、でもその建築会社の色には染まりきらず、更にあなたのセンスを上乗せして、独自の雰囲気を醸し出す、唯一無二のログハウスを建てませんか?
これから建てられるログハウスが、一つでも"本物"が増えるよう、陰ながら応援しています。