緊急事態!?
まずは画像を。
一枚目はログ材の搬入直後
二枚目はログ材の上にシートをかけて養生中、雪が降りました
なぜ養生中かは後から時系列に別ブログで詳しく書きますが・・・
簡単に書くと、うちが依頼したログの建築会社は原則カナダで加工した物を輸入して、現地へ運んだら即組み上げます。
うちはまだ基礎ができていないので、組み上げることができず、それまで養生しているのです。
ようするに組み上げの日までは建てる場所の横に置きっぱなし、雨や雪になるべく濡れないようシートをかけてあります。
そして雪が降り、二枚目の画像の状態に・・・
これは緊急事態!!!!!
と思いますよね、普通。
しかし、そう思うのは我々一般人だけ。
ログハウス業界の方々にとっては、いつものこと。
人によって感じ方にこのギャップがあるので、今回のブログを書いた次第です。
今後もですが、このブログはこれからログハウスを建てる方、建てたい方、興味があって調べている方に、私なりに参考になると思うことを書いていきます。
ではログ材に雨や雪がかぶったら、どうなるのか?
一般人としては、木が腐るんじゃないか?カビが生えるんじゃないか?乾燥した木材の湿度がまた上がってしまうのでは?という心配が頭をよぎります。
ですが、それは心配無用ということです。
まずは木材の湿度、乾燥状態について。
私も少しは木について勉強したので今は納得していますが、私なりに説明すると理屈はこうです。
木は縦に(地面から空に向かって)線維状の細胞でつながっていて、丸太をチェーンソーで横方向に輪切りにするとスポンジ状になっています(断面がスポンジ状なだけで、それぞれの穴は上下方向に一直線に繋がっています。顕微鏡で見ないと分かりませんが)。
木が乾燥する過程で、水分は主にこの輪切りになったところ"木口"から"蒸発"していきます。
縦方向に表面の皮をむいたところからは、ほとんど乾燥はしないということです。
これは効率の問題だと、私は理解しています。
木口は、その木材の全ての線維がむき出しになりますが、表面の皮をむいたところはその線維が切れたところだけむき出しになっていて内部は閉じ込められたまま。
なので、木材の乾燥は"木口"からの方が効率よく進むということです。
これはログハウスのセトリング(木材の乾燥に伴って、ログを横積みにした壁の高さが低くなること)や、室内の湿度管理、木独特の香りについて理解する時にも役立つ考え方です。薪ストーブを導入される場合には、薪の乾燥を考える時も同様です。
木口がどこにあるのか(主に室内なのか・室外なのか)、木口が東西南北どちらを向いているのか、木口の数は(アーチカットや窓、扉の数は)、などの構造上の要素から、木材の各部によって乾燥具合が異なり、セトリングも均一には起こらないことになります。
もちろんそれはおおむね5年くらいの短期間のセトリング過程での話であって、20年30年経ってセトリングが落ち着く頃には、ほぼ全ての部位で乾燥がすすみ、ログ材どうしもガッチリ噛み合う状態になります。
また、木材自体に調湿機能がある事が知られていますが、主に木口から湿度を吸ったり吐いたりするので、室内の木口の露出箇所が多いほうが湿度管理に有利です。
そして木材の木口から湿度が吐き出される時、その木材特有の香り成分も一緒に出てくるので、やはり室内の木口が多いほうが木の香りも強くなります。
従って、せっかくのログハウスなのでアーチカット(室内のログ壁をくり抜いた開口部)を一つでも多く作りたい、ということになります(それによって、室内の木口の数が増えます。窓や扉は必要に応じて必ず作りますが、アーチカットは意識して間取りを決めないとその数が変わりますので)。
これもまた、ログハウスの間取りを考える時の楽しみですね。
話がそれましたが、長い目で見ると木材の表面が雨や雪で濡れても、20年30年の乾燥過程では影響がないということです。
木口が濡れても、一時的に毛細管現象で水分を吸い込みますが、すぐに元の乾燥状態まで戻るそうです。そしてその後もゆっくり乾燥は続く。
表面が濡れても気にしなくていいのは、もうご理解いただけた思います。
ただし汚れ・腐る・カビの問題が・・・
長くなってきたので、別ブログで書きますね。